ショボい毎日

ショボい人のショボい毎日がここにあります。

黒猫の月の詩

※大変長文です※

 

2018年8月26日(日)
夜、22時過ぎのことでした。

 

空に雲が無く満月が綺麗に見えていたので、毎月恒例、月の写真を撮ろうかなと思い一眼レフを持ち出して近所を歩いていたところ、ふと真っ暗な道端を見ると植木鉢の影から猫の尻尾のようなものがチラッと見えました。

 

「おや?」
と思って近づいてみたところ、植木鉢の中で丸まっている1匹の黒い子猫がいました。

 

子猫であれば、普通なら人間の姿を見るとすぐに逃げ出すものですが、その子は逃げる様子もなくじっとして動きません。
背中を撫でてみると、虚ろな目でこちらを見てくるだけ。
「弱っているな」とすぐに分かりました。

 

その時の様子はこれ
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暗すぎて何も見えないですね(汗

 

こんな真っ暗な中でなぜ黒猫の姿に気付けたか?というと、数週間前この場所を通った際に、小さな黒猫がいて僕を見るなり逃げて行った事があったので、ずっとこの場所が気になっていたからでした。
でもその時はたしか2匹いたのに、今は1匹だけ。
もう1匹はどうなってしまったのだろう…

 

「どうしよう」と思いながら、その道を行ったり来たりする事3回ほど。
(↑完全に不審者)
すぐに迷いは無くなって、
「よし、連れて帰ろう。連れて帰るからにはできる事は全てしてあげよう。」
と覚悟を決め、ゴミ捨て場から段ボール箱を拝借し、子猫を保護しました。

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生まれてから1~2か月ぐらいかな?というくらいの小さな子で、綺麗な黒猫さんでした。
とても衰弱していて、へたり込んで立つ事もままならず頭もフラフラしており、呼吸も「ヒューヒュー」と異音がして苦しそうです。

 

実はこの前日、たまたま神保町の本屋さんに行き「野良猫の拾い方」という本を買ったのですが、まさかその翌日に野良猫を拾うとは、こんな漫画みたいな話があるものなのですね。

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その日は気温38度の猛暑日だった事もあってか、黒猫さんの肌を触るとやや体温が高かったので、暑さにやられたかなと思い水を差しだすとゴクゴク飲み始めました。かわいそうに、喉が渇いてたんだね。

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すぐに近所のスーパーに行き、食べやすそうな液状のおやつ「ちゅーる」を買って差し出したところ、少しですがペロペロと食べてくれました。
固形のキャットフードは口にする元気が無いようなので一旦あきらめました。

 

飲んで食べた後、箱の外に出してみると床の上でブリッと・・・💩
トイレのしつけもしてもらってないし、仕方が無いよね。

 

猫を飼ったことが無い僕は「猫ちゃんを飼うとフンの片づけとかが大変そうだなぁ、自分にできるだろうか」と考える事はあったのですが、実際に目の前でされると「はいはい、出ちゃったね、綺麗にしましょうね」と淡々とティッシュで拭き取り、全く嫌じゃない。
不思議なものですね。

 

ただ、時間が時間だけに(すでに0時近く)、動物病院も開いてなければペット用品(子猫用フード)が置いてある店も閉まっている状況なので、仕方なく翌朝を待つ事にしました。
会社に有給休暇を取る旨を連絡し、近所の24時間スーパーに行って猫のトイレ砂を購入し、これまた段ボールを切り貼りして簡易的なトイレを作りました。

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こんな物しか用意できなくてごめんね。

 


 

2018年8月27日(月)

 

日が変わり、さて僕も眠ろう、と思ったものの、黒猫さんが死んでしまうんじゃないかと気が気じゃなく、結局一睡もできないまま朝を迎えました

 

どら焼きを1個食べて、近所の小さな動物病院が診察開始したのを確認し連絡。
診察を申込み、段ボールハウスごと抱えて連れて行きました。

 

そこは高齢の先生が1人でやっているような小さな動物病院で、先生曰く「子猫だから抗生物質を使うと負担になるから使わない方が良い、このまま水分と栄養を補給して回復するのを待つしかないですね」との診断。
ごはんと水の注入用の小さな注射器をくれました。診察費はいらないと言ってくれました。
ちなみに女の子でした。

 

それから黒猫さんを家に連れて帰り、近所のスーパーが開店するやいなやすぐに駆け込み、トイレシートや猫用ミルクなどを購入。
帰宅して黒猫さんにミルクを与えたところ、少しですが飲んでくれました。

 

親とも兄弟ともはぐれ、飢えて弱った末にたどり着いたのが段ボールハウス…というのではあまりにも不憫なので、ネットで猫用のケージをポチりました。

 

さらにインターネットで調べたところ、液状のおやつ「ちゅーる」はあくまでおやつであり栄養が無く、子猫用のちゅーるという栄養が入った商品があるらしく、それが売っていそうなホームセンターに向かう事にしました。
ミルクを飲んで眠りについた黒猫さんを確認し、いざ出発。
時間は正午。めちゃくちゃ暑い。
子猫用のちゅーるを見つけたので、購入してきました。

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栄養補完食!

持ち帰って与えてみたのですが、あまり食欲が無い様子で、少ししか食べてくれませんでした。おいしくなかったかな?
誤嚥してもいけないのでほどほどにし、お水も飲ませていったん終了。
少しずつでも根気よく与え続けるしかないな、と思いました。

 

 

お昼に1時間ほど仮眠を取りました。

 

 

他にできる事は無いか?と考えるうちに、「回復を待つしかない」という朝の病院の診断が少し気にかかりました。
調べてみると、家から5分ほど歩いたところに設備が充実した大き目の動物病院があるとの事で、少し悩みましたが「できる事はすべてやると決めたんだから、やろう」と思い、そちらにも連れて行ってみる事にしました。
ただ、段ボールハウスで連れて行くのも移動中の揺れが強くなるし黒猫さんの体に負担がかかるかなと思い、動物病院も昼休み中だったので、眠っている黒猫さんの様子を確認し、急いで池袋へ。
ペットショップに行ってキャリーケースを買ってきました。

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16時になって診察再開した二軒目の病院に電話をしたところ「すぐに連れてきてください」との事。
黒猫さんに、買ったばかりのキャリーケースに入ってもらって、少し天気が怪しくなってきた中を、早足で連れていきました。

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そわそわ。

1つ目の病院とは違ってスタッフも多く、他のお客さんもセレブっぽいザマス系な感じの人ばかり。(失礼)
「(もし段ボールハウスで来てたらおかしな目で見られてたかも知れない、キャリーケースで来て良かったな)」と安堵しつつ、待っているとすぐに看護師さんが駆け寄ってきました。
「呼吸がしづらそうなのですぐに酸素室に入れますね」という事で入れてもらい、その後レントゲンを撮影。

 

一寸経って、診察室に呼ばれました。
先生曰く「体に脂肪がほとんど無く極度の栄養失調で、普通の子なら1kg以上はあるはずの体重が700gしか無い、肺炎も発症しているのでかなり厳しい状況です」との事でした。
レントゲン写真に写った肺は、全体的に白くなっていました。
生後1~2カ月くらいなのかなと思っていましたが、先生に「4カ月齢は過ぎているでしょう、春の発情期に生まれたんでしょうね」と言われ、驚きました。
栄養剤・抗生物質の点滴と、ダニ&ノミ避けの薬と虫下しを投与してもらい、次回の診察は明日の夕方という事で、診察終了となりました。

 

粉薬と投薬用ちゅーるも処方してもらい、
レントゲン代も含め診察費用は・・・チーン

でも、お金なんてまた稼げば良いのです。
いまは消えそうな命を救うのが最優先。

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薬の袋を見て思い出しました。
そう言えば病院で黒猫さんの名前を聞かれたものの、保護したばかりでまだ名前を付けてあげていませんでした。
満月の夜に保護した子、という事で「月」ちゃんと呼ぶ事にしました。

 

二軒目の病院に連れて行こうかどうしようか迷ったけれど、連れて行って本当に良かった。
ここまで詳しく診察してもらったら、あとは月さんの体力を信じて回復を願うのみ。

帰宅して、キャリーケースの中でぐっすり眠る月さん。
通院よく頑張ったね。

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この様子を見た途端、突然ドッと疲れが出てきました。
時間はすでに18時。
気付けばほとんど寝てないし、朝にどら焼きを1個食べたのみでした。
「ここで自分がダウンしたら、月さんは確実に助からないな」と思い、手っ取り早くカロリーを補給。

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久々にココイチで食べたけど、ご飯少なめにしても量が多くて苦しかった(笑

 

 

20時頃、月さん用の食器を買いに近所のスーパーへ。
突然ものすごいゲリラ豪雨が発生しました☔️⚡️
夜なのに稲光でこの明るさ(汗

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大宮駅の雨漏りの映像がtwitterで流れてきたりして、雨の激しさを物語っていました。

 

「昨夜、もし月さんをうちに連れて帰ってなかったら、この雷の音に怯えながら豪雨に打たれていたのかな」と思うと、連れて帰って良かったなと改めて思いました。
とはいえ、そんな野良猫さんは世の中にたくさん居るのだと思いますが…野良の子猫は8割が大人になる前に亡くなると聞きいた事がありますし。

 

こんなに小さいのに、とにかく懸命に生きようとしてくれている姿を見て、僕も頑張ろうと思いました。
栄養剤の皮下点滴をしたので薬は朝からで良いとの事でした。
月さんがぐっすり眠っているのを確認し、僕も体力の限界を感じ0時ごろに床に就きました。
おやすみなさい、月さん。

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 2018年8月28日(火)

 

4時半に一旦起床。
月さんは相変わらず眠っています。

 

水を口元に少しだけ注入するとゴクンと飲み込んでくれたので薬を投与することにしました。
粘度が低い方が飲みやすいかなと考え、水と薬とちゅーるを混ぜたものを作成し、口から注入。

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半分くらい流れてしまったけれど、なんとか飲んでくれました。

 

その後も月さんは眠り始めたので、僕も6時頃に再度寝て、7時頃に再度起床。

 

月さんはだいぶ呼吸が弱くなっていました。
これまでは、耳をチョンと触ると「ピクン」と耳を動かして反応してくれていたのですが、その反応も無くなっていました。

 

 

7時20分、
か細かった呼吸が停止し
最後に「きゅー」という声を発したのち、
月さんは天国に旅立ちました。

 

苦しかったのに、よく頑張ったね。

 

たくさん泣きました。
悲しかったけれど、出勤前に最期を看取る事ができて本当に良かった。
月さんはまるで眠っているように安らかな顔で旅立ってくれたので、とても飼い主孝行で利口な子だなと思いました。

 

8時半ごろ、ペットの葬儀屋さんに連絡し、翌日午前に引き取りに来てもらう手配をしました。
月さんの体が痛まないよう、保冷剤をそばに置き、冷房もかけたまま会社に向かいました。

 

その日は1日中、涙をこらえて仕事をするのに必死でした。
お昼休みに仮眠をとりましたが、疲れていたのか休みが終わった後も20分ほど寝たままでした、だれか起こしてよ(苦笑

 

その後なんとか仕事を終えて帰宅途中、花を買いました。
白い花と、(女の子らしい)ピンクの花と、(月さんらしく)黄色い花、
そして、食べてくれていたちゅーるを、眠っている月さんの傍に手向けました。

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帰宅するなり
「ただいま、月さん」
「暑くなかった?」
「保冷剤溶けてるね、新しいのに変えようね」
と、もう二度と目を覚ますことが無い月さんに話しかけている自分がいて、今考えるとおかしいですね。

 

会社に「明日は私用が済み次第出社します、度々申し訳ございません」と連絡し、就寝しました。

 


 

 2018年8月29日(水)

 

起床してからペットの葬儀屋さんが来るまでの間、冷たくなった月さんの頭を何度も撫でてあげました。

 

10時ごろ葬儀屋さんが来てくれて、月さんを引き取ってくれました。
お花と、ちゅーる、そして看病中ずっとかけていたタオルも一緒に火葬してもらうようお願いしました。
浅草の霊園に納骨されるそうなので、可能であればいつかお参りに行きたいな。

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いってらっしゃい。

 

月さんを見送った後、お手製の段ボールハウスと段ボールトイレを片付け、診察してくれた病院に月さんが亡くなった旨を連絡をして、すべてが終わりました。

 

それから色んな事を考えました。
「もしもあと数日早く保護できていれば…」
「自分よりももっと猫について詳しい人に保護されていたら…」
「先に設備が充実した方の病院に連れて行った方が良かったんじゃないか?」
「いや、逆に最初のお医者さんが言ったように抗生物質は負担になったんじゃないか?」
でも、考えてもキリが無いのでやめました。

 

できる限りの全部事はやったし
「助けてあげられなくてごめん」
よりも
「うちに来てくれてありがとう」
と考える事にしました。

 

ほんの3日間ちょっとしか一緒に過ごせませんでしたが、月さんは僕に

悔いが残らないよう、できる事を全てする事の大切さや、
生まれの不公平さに不満を抱く事の不毛さや、
守らなきゃならない存在がいると、その事以外何も考えられなくなる心理状況など、

とても大事なことをたくさん教えてくれました。

 

もっともっと一緒に居たかったけど、後悔は無い。
気持ちを切り替えて、これからも頑張って生きよう。

 

かわいい月さん、
短い間だったけど、うちに来てくれて本当にありがとう。
天国で幸せになってね。

 

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おしまい。

 


 

【後日談】

 

「ピンポーン」
「宅配でーす」

 

そう言えば、ポチっていた猫ちゃん用ケージ…
届きました。

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なかなかのサイズ・・・

 

他にも、ペットフードに、ミルクに、トイレシートに、キャリーケースに…

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どうしよう、これ。

まあ、すぐ痛む物でもないし、いつか使う日が来るかも知れないか。


近所で野良猫の保護活動をしているNPO団体さんに寄付をしても良いかも知れない。
猫さんのために買ったものだから、猫さんの役立ててくれると嬉しいからね。

 

(長文となりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。)

 

(=゚ω゚)ノ ジャ、マタ!